2017.07

袋文字で考えるデザインの話

袋文字で考えるデザインの話02


デザイナーの竹本です。





なぜこの部分に、このデザイン処理を行っているのか...
デザインをする上で大切な基礎の基礎だと個人的には思っています。
(人によって違うと思うので、あくまで個人的には。。)

意味を持たないデザイン処理は伝達力・コミュニケーション力に欠けます。
またそれは見る人に違和感を感じさせ、その違和感が「素敵じゃない・ダサい」を引き起こします。
世の中の「素敵じゃない・ダサい」は得てしてそのデザインに意味がないからなのです!
...とは断言はしませんが、そのケースが多分にあると思います。
その意味なしデザインになりがちの代表 "袋文字(囲み文字)"。
個人的には超好きなこの"袋文字"を通じて、僕なりに内容薄めのデザインの話をします。


そもそも袋文字(囲み文字)とは、基本的には文字を輪郭線で描いて中を抜く文字修飾です。
袋文字で考えるデザインの話03
こういうやつです。
強調される場所などに使用されますね。


一般的に「袋文字」というと、さらにもっと処理を付け足したものを指すことが多いです。
もっと処理を足して、いわゆる袋文字にしてみます。
袋文字で考えるデザインの話04
こういうやつです。(う〜ん、袋文字...)

MicrosoftのWordやPowerPointのワードアートスタイルでも簡単に作れるやつですね。
チラシやスポーツ紙などでよく使用され"目立たせる"という目的が主のデザイン処理です。


では例として、あえて意味を持たない袋文字のデザイン処理をしてみます。
袋文字で考えるデザインの話05
文字の種類や太さ、色にも特に意味がないので伝達力(辛そう!な感じ)に欠けますね。。
(これは少し誇張し過ぎた意味なしデザインにはなります)

チラシなどの「激安!」なども「超安いぞ!」という勢いこそあれ、
あまり意味のないデザイン処理と言っても良いかと思います。
"目立たせる"という目的が主なのでそれはそれで正解ですが。
本題に戻って、ではどうすればもっと「激辛!!」の伝達力が上がるのか...

「デザイン」という言葉には設計・意匠・計画・構想・機能という意味がありますが
今回の場合はその中の「機能」をもっと高める必要があります。
この文字が機能として不足している点を考えると
・色が青い → 辛い・熱いという熱量を伝達する機能に乏しい

・文字が細い・丸い → 辛いという強い感情や刺激を表す機能に乏しい
が考えられますので
この袋文字のデザイン処理をもっと意味のあるものにしてみます。
あとバルとかカフェとか系?的な英語のデザインと並べてみます。
袋文字で考えるデザインの話06


炎を感じるグラデーション、強い刺激を感じる太めで尖った文字、
心拍をイメージした文字の大小、胃の焼ける感じをイメージしたザラザラの処理..
言葉で説明するとこんな感じなのですが、一応意味があるだけ伝達力は高まったと思います。

はっきりいって素敵でカッコいいデザインか...と言われると何とも言えませんが
英語のシャレてるやつ(簡単に作ったので、そんなにシャレてはいませんが...)に比べると、
文字の持つ情報量の多さもあって袋文字の方が伝達力に勝っていると言えます。
(袋文字の方は日本語という事もありますけど)

恐らくほとんどの日本人には右の袋文字の方が辛そうに見えるとは思いますが、
バルの夏の激辛メニューで使用するデザインの場合には左の英語のデザインを、
男性向けのお菓子のパッケージなどで使用するデザインであれば右の袋文字のデザインを...

訴求する相手やシーンに対して最短距離で刺すデザイン(コミュニケーション)がとても大切で、
その最短距離が何かを考え、理解し、使い分け、組み立て、機能させるのです。
(デザイン=設計・意匠・計画・構想・機能...という事を言いたかったですがムリでした)


今回は「いやいや...辛い!の表現だから文字を赤くするのは当たり前だよね」のレベルの簡単な例ですが、
紙面やWEBページの見出しやあしらいなど一つ一つのパーツにも同様に、
きちんと意味を持たせてデザインしていく...というのが僕達の仕事です。(理想)

が、頑張りま〜す。
あと袋文字はやっぱり強くて有能なデザイン処理なので、
みんなもっと好きになって欲しいですねぇ...。と思っています。
author: Takemoto
CONTACT